2005-10-01から1ヶ月間の記事一覧

ラノバナ

海の向こうのオリエンタルな色,あるいは国境の向こうの野蛮な色,あるいは夜や死の色であった青が,まさにその遠さゆえに,今度は空の彼方の神の領域を表わすことになるわけです.青は,色のなかにあり,また,色の外にある.いや,一言で,青は「外」の色…

語りそこなう

そういうわけで,私がこれから自分の生をしめくくるつもりでこれまで生きた全体をスケッチするとしたら,それは徹底して複雑な入れ子細工の箱となって,引用のなかの引用の,また引用の,という様相を呈するのではあるまいか? (私という小説家の作り方 (新…

超越論的/超越的

- 超越論的 transzendental な認識とは,「対象に関する認識ではなく,私たちが一般に対象を認識する仕方に関する認識」【B25】である.対象の認識やその正誤といった具体的な,オブジェクトレベルではなく,そのメタのレベル,すなわち「一般に,我々が対象…

モデルとハード

居場所はあるぞ,私もおまえも.今ここに居るぞ.自分で自分が居ないとは思えないだろう. - 自我は「超越論的仮象」の1つとされる.それは錯視などの「経験的仮象」と異なり,人間の認識能力にとって自然で不可避な‘錯覚’である. 自我が「超越論的仮象」だ…

ラヴクラフトとカント

親近感をおぼえる物事の見方といえば,1920年代アメリカの怪奇小説家,H.P.ラヴクラフトのそれを思いだす.【一部の怪奇小説・幻想文学マニアからは崇拝的ともいえる評価を受けるとはいえ】その作品は文学とはほど遠い怪奇小説ないしSFといったもので,作品…

天使のための音楽

もし,天使のための音楽があったとして,彼らは,我々のようにそれを時間系列のうちに展開して聞く必要はないかもしれない.我々で言う〈一瞬〉で,すべての音楽は終了してしまうかもしれない.(黒崎政男『カント『純粋理性批判』入門』p.111) - 冒頭の一…

『純粋理性批判』入門

先日(id:somamiti:20051017)に引き続き『純粋理性批判』の入門書からのまとめ書き.

感性と悟性

感性と悟性についての引用など.

哲学原典資料集(KDRV)

「純粋理性批判」についてのまとめ.今度は『哲学原典資料集』(pp.141-150)を参考に. 「哲学マップ」では「カテゴリー」のみがア・プリオリな要素としてとりあげられていたようにおもう;「感性の形式」の要素がとりあげられていない【単に読み飛ばしたの…

ヒトガタについて

純粋理性批判のためのメモ(id:somamiti:20051013)を書きつつ考えていたことから.

カントの立場:超越論的哲学

▼超越論的哲学 ア・プリオリなカテゴリーがあってはじめて経験がなりたつ.そして,経験があってはじめて諸物は‘そこにある’(存在する)といえる.諸物,ひいては自然一般は経験によって可能になる.これは,物の存在を暗黙の前提とし,すでに存在するモノ…

目的,合理論と経験論に対して

▼カントの目的:合理論と経験論の調停,理性の批判 合理論と経験論の対立とは知性の位置づけに関する対立である.知性とは概念にもとづき推理・推論する能力である.合理論は知性を過大評価し,経験論は理性を過小評価する.カントは知性の濫用を抑制し,か…

背景

▼時代:カント(1724-1804,純粋理性批判第1版1781,第2版1787)の時代 = 18世紀末から19世紀にかけて.ヨーロッパでは政治システムの近代化がなされつつあった(例:1789年のフランス革命).その状況下において,個人の自由(生命・身体・私的財産の所有・…

KDRVマップ

純粋理性批判(KDRV)の見取り図.おもに「図解雑学哲学」と「哲学マップ」より.‘B--’としたのは関連内容が記載されている原書第2版のページ(岩波文庫版を参照).

追記:想起説の証明

『メノン』では想起説の実験的な証明がおこなわれる:

回 → 答

いえ,あなた,はじめて赤ちゃんの笑顔を見た母親の喜びっていうものは,罪びとが心の底からお祈りするのを天上からごらんになった神さまの喜びと,まったく同じことなんでして.(『白痴(上) (新潮文庫)』) id:somamiti:20051002での疏水さんのコメントに…

流出

(参考:「新プラトン主義」『岩波哲学・思想事典』,他)

表象

▽哲学(参考:「表象」『岩波哲学・思想事典』) 表象 Vorstellung は歴史的にさまざまな用語で表わされた. アリストテレスの『霊魂論』(デ・アニマ)での定義では「表象 phantasia」とは感覚や思考とは別のものであり,感覚なしには表象は生じない.表象…

流出(3)

表象と流出にかかわるメモ.

痛み

先日,ペインクリニックや痛覚の生理学的機序に関するいくつかの講義をきいた.本日の日記はそれに関して.

representation

「表象」についての百科事典の解説(木田元「表象」『世界大百科事典』参照)表象は,哲学や心理学の領域で,おもにドイツ語の Vorstellung,英語の representation,フランス語の représentation の訳語として用いられる言葉であるが,その意味の範囲はさま…

流出(2)

先日の日記で「表象 Vorstellung」という言葉をとりあげました.「表象」は representation の訳語としても用いられます.本日は representation と Vorstellung とのかかわりについて考えたことを記しました.