2006-03-01から1ヶ月間の記事一覧

水没ピアノ

「少しは本を読んでおくべきだね。あなたはポール・オースターも知らないのか?」 「うるさい。『ムーン・パレス』は、タイトルだけ知っている」 - ちなみにソマミチはポール・オースターや『ムーン・パレス』という名詞をこの一節を目にして初めて知りまし…

断片集

あるテーマについて話をしているとき,自身の考えをたずねられて答えに窮することがしばしばある.生半可な知識でジャーゴンを弄んでいただけ.自身の考えなど何もない.まったくの空虚.何も解っていないのですと申しあげたくなることがある. 断片が示され…

妄想と夢

たとえばグラディーヴァという名前.無限皇帝グラディーヴァなどと称するといかにも強そうだとおもう【なお本日の日記は『妄想と夢』とはいっさい関わりありません】.

事後的な問い

‘ならば,xが生き残りyが絶滅したその理由を答えよ’ ‘等しくaであるにもかかわらず条件Aにおいてxは生きyは死んだ.なぜだろう’この問いに,以下の見解を応用して答えることもできるかもしれない:サイコロを10回振ったときに(6,6,6,6,6,6,6,6,6,6)や(1,2…

深泥池にて

――終わりの色は青,ダムの底に沈んだ街. (松下紺之助「鳥追いの街」) - 深泥池を見にゆく. 深泥池の成立は14万年ほど前にまで遡り,暖温帯である京都にあるにもかかわらず各所に氷河時代の生き残りと考えられる北方系の植物や動物が生存している.これら…

関係

人間の自己はそもそも関係であって,自と己という関係はそれ自身に関係するだけじゃなくて,自身との関係において他のものとも関係するらしい.すべての望みが絶たれたときに一人になりたいと願うだなんてことは,そのことを示しているらしい. - 10年前の文…

モノガタリ

一人語り.モノがたり.

犬の幾何学(3)

「現在」の私-たちは「相対論」によって立つ.ここで「相対論」を再帰的に;今現在の私たち自身に向かって適用しよう.…….このように,「相対論」についての真/偽,いずれの仮定をおいても,そこから仮定に反する帰結が導かれるのである.私-たちの「相対論…

運動感覚と「わたし」

飛ぶ矢のパラドクスはまた感覚的質の捨象,ひいては公理系としての数学化・理念化が「運動性の」知覚/記憶とは切れたものとなる困難との関連において,ひとつのアナロジーとして参照されたことだったようにおもう. この運動性の知覚ないし記憶(あるいは感…

点時刻の病理

では,飛ぶ矢のパラドクスについて大森はどう考えるか.大森はそこに「点時刻の病理」をみいだす.たとえば数直線としての‘時間軸’を描くとき人は時間をリニアーなものとして思い描く.そのような線形時間の「時刻」の概念には「点時刻」の概念がふくまれる…

公理系としての数学

「飛ぶ矢は飛ばない」.このパラドクスもまた「重ね描き」により解消されるだろう.飛ぶ矢の軌跡に重ねあわせて直線を思い描く.そこから無数の点を取り出す(切り出す)ことができるだろう.数学における実数は,そもそもそのように構成される.しかし軌跡…

犬の幾何学(2)

「時とともに《客観性 objectivity(おおくの人びとが妥当だとするようなモノゴト object らしさ)》が変化する」という命題.これが奇妙だとおもう感性は,いまとなっては「時代遅れ」かもしれない.現代の‘量子力学’的世界観【あるいは古代ギリシア以来の…

犬の幾何学(1)

――という私の思惟や認識がすでに既存の学を基盤として成立している.その認識の基盤にある学はまた,その学を含む時代におけるコモンセンスや方法論から利益-関心 interest や束縛を受けとっている;学を内包する「世界」を基盤として成立する.さて‘このよ…

危機(第一部)

第一部.長いです.

マジカヨ

先日の日記(id:somamiti:20060224)に記したように,このところヨーロッパ諸学の危機と超越論的現象学 (中公文庫)(以下『危機』)を読んでおりました.解説書ではない現象学の本をよむのはこれが2冊目のソマミチにとっても意外に読みやすい本だったです.…