モノガタリ
一人語り.モノがたり.
自分騙り.
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「自分というものがまるで感じられない.いまここでこうやって話しているのは嘘の自分です.なにをしても自分がしているという感じがしない.感情というものがいっさいなくなってしまった」
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むかしむかし,ライトノベル(というよりホラーとミステリ)とTRPGという‘ごっこあそび’だけが拠り所のふわふわとした気分でいたころ,この一文をみたソマミチさんは「これは私だ」と実感したそうです(「『私には実感がない』と実感する」だなんてわけがわかりません.あははー)【そのうえ自らにテツガクの才能があると勘違いして進学したソマミチさんはそれこそ「やっぱオマエには東浩紀とか『あずまんが大王』とかがあってるよ」と実感することになるのですが,それはまた別のお話】.
いまは違う考えをもっている.この「文」をみて「これは私だ」と感じたところにこそ,ソマミチのナイーブさがあるのだとおもう【いわゆる多重人格についても,この延長線上でその病理を考えている】.
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――嘯(うそぶ)いたろう
――嘯いた
(高貝弘也「離騒」)
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そろそろ『存在と時間』を読むことができるかもしれない.そう感じるとうれしい.けれども暗いな.楽しそうですらないな.趣味にするならもっと明るくて楽しそうなやつがよかったな.音楽とか映画とかスポーツとか車とかグルメとかお酒とか.世の中にはテツガクよりも,もっと楽しいことがいっぱいあるとおもうんだけどな.
「どこから来た? 私は誰? どこへ行く?」四季はきいた.
「貴女は,貴女から生まれ,貴女は,貴女です」犀川は答える.「そして,どこへも行かない」
四季はくすくすと笑いだす.
「よくご存知ですこと.でも,その三つの疑問に答えられることに,価値があるわけではありません.ただ,その三つの疑問を問うことに価値がある」
「そうでしょうね」犀川は頷いた.「価値がある,という言葉の本質が,それです」
「リカーシブ・ファンクション recursive function ね」四季は言った.「そう,全部,それと同じなの.外へ外へと向かえば,最後は中心に戻ってしまう.だからといって,諦めて,動くことをやめてしまうと,その瞬間に消えてしまうのです.それが生命の定義.本当に,なんて退屈な循環なのでしょう,生きているって」
「退屈ですか?」
「いいえ」
(森博嗣『有限と微小のパン (講談社文庫)』講談社文庫版,p.826,一部改変)
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【つかれました.こんな時刻までしこしこブログだなんて.よほど時間を持て余しているのでしょうか.最後には自分語り self-reference までしちゃうだなんて.もう本当にジャンキーです.それだけに満足いたしましたのでテツガク話はしばらく自粛】
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そうしてソマミチさんがどこにいったのかといいますと,実はまだここにいるのです.
(おしまい)