2005-07-01から1ヶ月間の記事一覧

心脳問題の4つの立場

心脳問題―「脳の世紀」を生き抜く より。同書の第2章では「心脳問題」すなわち‘心と脳の関係をどう考えるか’という問題について,これまで与えられてきた解答を唯物論,唯心論,二元論,同一性の4つに分類する【なお,この分類は基本的にマリオ・ブンゲ『精…

実世界とゲーム

メディアのこちら側と向こう側の繋がりについてはロボットだけでなくコンピュータゲームと子供たちとの関わりを通じても語られます.どうしようもなく打つ手がなくなった時,少女は,ゲームが実世界の出来事に影響するならば実世界もゲームの出来事に影響で…

花火

花火を見にゆきました.花火を形容する言葉としては‘夜空に大輪の花が咲く’などと花に例えるのが一般的であるようにおもうのですが,あらためてみますと,あるものは飛び交う蛍のようであったり,ザァッと音をたてて降る星のようであったり,揺らめき光る海…

近ごろ読んでいる本

『自我の哲学史』の第II部第1章は「宮沢賢治の自我論」と題されている.そこでは賢治の自我論(自我は「心に次々と浮かんでは消えゆく心象の一つにすぎない」)を示すものとして「春と修羅 序」がとりあげられている:『春と修羅』冒頭で賢治が,「わたくし…

「『老人と海』の背景」について

「われわれはよく、作品のなかに、作者の個性を、あるいは登場人物の個性を求めます。それがなにを意味するかと申しますと、ある特殊な遇去の経験を背負っているひとりの個性が、別の経歴を背負っている人物や環境と出あって生きにくさを感じながら、悩むこ…

『老人と海』の背景

「老人と海」はそれまでのヘミングウェイの作品のなかで最良のものである.アメリカ文学の伝統のうえで,その弱点を長所に転換した作品である.ではアメリカ文学の弱点とはなにか.福田はそれをヨーロッパ文学との比較により論じる.

アメリカ

だいたいお姉ちゃんはおこりんぼだと思う.お姉ちゃんは,なにもかも気に入らないんだ.お姉ちゃんの気に入るものなんて,このアメリカには一つもありはしない.みんな日本にあるんだ.「美しくて歴史の深い」日本にね. (江國香織「こうばしい日々 (新潮文…

月の裏側

純粋理性批判のなかに月の自転に関する天文学者の論争が紹介されていた.1つの対象(問題)について異なった立場から観察ないし考察することによって,同じ前提(観察データ)から矛盾する結論が導かれうることの例として.

科学哲学入門

「科学哲学入門」を読了する.かなり興味ぶかい内容だった.「帰納法」という用語が時代や論者によって異なった意味に使われているということ【帰納法といえばミルによる定式化のみを念頭においていた】,19世紀において科学的探求の現場には確率・統計的方…