第一研究,千角形

(論研の記述を,大森のざっくばらんな記述の助けをかりて解釈)
デカルトは千角形の例をとりあげ想像 imaginatio と知性 intellectio の区別をのべる.
「千角形の想像表象は,思惟されたものの大雑把な,たんなる部分表象にすぎない」;想像によってイメージされた千角形のイメージはなんだか曖昧なもので,それだけでは九九九角形や千一角形などと区別はつかないだろう.千角形はあくまで知性によって思われる対象だ.
千角形をはじめ「幾何学的概念は十全的には直観化できない」.たとえば線は想像・描出して「直線」とされるが,こうした場合,心像 Bild はたんにインテレクチオ intellectio の拠りどころ Anhalt にすぎない.
心像(Bild)【たとえば描かれた線】は,志向された形象の des intendierten Gebildes 現実の類型 wirkliches Exempel ではなく,感性的形象 sinnlichen Gestalten の類型である.それは幾何学的《イデー化 Idealisierungen》の出発点だ.
一時的な感性的心像は,理解をたすけるのみであり,それそのものが意味もしくは意味の担い手として機能するのではない.