Articulation(3)

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パノフスキーはスコラ学の支配原理として〈マニフェスタティオ〉すなわち明らかにすることを挙げる.この原理によってスコラ哲学の図式主義・形式主義が生じ,以下の3つの特徴をそなえた著作があらわれた.

(1)全体性(十分な列挙)
(2)相同(ホモロガス)な部分と部分の部分との,一つの体系に従った配列(十分な分節化)
(3)明確性(ディスティンクトネス)と演繹的説得性

たとえば私たちは,論文を目次や要旨に要約できるような分割・細分割という図式(章立て,見出し)にしたがって構成することを当然としている.しかし「スコラ学にいたるまでこの種の体系的分節化は知られていなかった」という.

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分かりにくいものを分かりやすく記すのは難しい.生の素材からエッセンスだけを抽出するようにしてシンプルにすること.それを目指してみても,全体像のプロポーションをそのままに保つべく,全体をそのまま縮小して提示すれば細部はごちゃごちゃと混乱し,かといって外形だけ,骨組みだけをとりあげて提示することも言うは易し.自らの視点・関心におうじてデフォルメを効かせれば全体の文脈において強調したいポイントを的確に伝えられるのかといえば,そもそも全体の構造(ノーマルな解剖や組織像)を把握していないのでは,はたしてそれが全体のデフォルメなのか,それとも単に局所のみを拡大しているだけなのか,判然としない(たとえばキャラクターのイラストを描こうとして,往々にして頭部だけ,あるいは顔だけ,ときには目だけを描いておしまいにしてしまうように).
【と,みずからの言わんとすることをより分かり易くするための注釈をつけくわえれば,このようにカッコを多用したスタイルとなり,かえて分かりにくくなってしまう】【これは重層構造を平面的に記しているせいだろうか;立体的な(遠近をともなう)構築物のヴィジョンをしめすために,いたずらに展開図や射影像ばかりを提示して,かえって全体像をわかりにくくしているのだろうか】【いったい何を書いているのだろうか.文字に(あるいはキーを叩く指に)ひきずられた連想の系列の集積.まるでミョウバンの結晶】【という感覚は.これは全体像を予め定めての図示ないし分節化・構造化されたアーキテクチャーの建築――論文の構築では得られないもののようにおもう.楽しい】

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