Artikulation

『論理学研究』が手元にとどいた.6月初頭の呼吸器の試験が終わるころから読み始めようとおもう.

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“articulation(もしくは Artikulation)”という語がある.辞書をみるとさまざまな意味が載っている【メモ参照】.文脈に応じて「分節(化)」や「関節」と訳し分け,また面倒くさいときには「アーティキュレーション」とカタカナに置換していた.
イデーン』においても Artikulation の語は度々あらわれた.岩波文庫からでている翻訳では「分肢」と訳されている:

ノエマ的には同一的意味としての「何」が存立を持続し,ノエシスの側面ではこの意味の相関者が,さらには定立ないし総合定立に従っての分肢の全形式 die ganze Form der Artikulation が存立を持続する.
(下巻,p.237 / 第3篇,第4章,122節「肢体ある総合定立 artikulierten Synthesen の遂行様態,『主題』」)

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イデーン』において分肢 Artikulation は,肢体 Glied という語との関連において用いられているようである.

※肢体 Glied (中,〜[e]s/〜er):手足,肢 / メンバー,会員,連鎖の1つ,全体の一部分 / 隊伍の横のまとめ役,仲介者 / 世代 cf.Gliederbau 骨格,骨組み.(英語の limb に相当)// → 肢体をもつ,肢体ある ge-glied-erten

ある思想は,単純にか又は多様の定立を具えて,『混乱的』思想として出現することがありうる.そのときそれは,いかなるアクチュアルな = 定立的なる分肢 Artikulation をも持たない端的表象のごとくに現れる.たとえば我々はある証明,理論,談話などを想い起こす――『それは我々の念頭に浮ぶ』.にもかかわらず我々はけっしてそれに向かってはいない.すなわちそれは『背景』において出現している.
つぎに自我視向【まなざし】は一線的に,そのノエマ的対象性を非肢体的 un-gegliederten 把持によって把捉しつつそれに向かう.するとあたらしいプロセスがはじまり混乱した再回想は判明・明晰なものに移行する.
(下巻,pp.240-241 / 第3篇,第4章,123節「総合定立的作用の遂行様態としての混乱性と判明性」)

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手元にあるArtikulation と Glied にかかわるメモ書きを,『論理学研究』を読みはじめるまでのあいだ,比較的まとまりのある文章にしておこうとおもう.