無際限性,無限性

以下,お気に入りの箇所から【引用,読解,解釈(牽強付会)など】)
([ ]のなかの数字はドイツ語の本のページ)

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311[297] 自然や世界という名称が包括するあらゆる超越的対象 = 実在(Realitäten)は"(カント的な)イデー Idee"としては完全なる所与性が示されている
:連続的現出の無限プロセス endloser Prozesse の体系 System として = こうしたプロセスのフィールドとして = 現出の von Erscheinungen (相異なっているが一定の(bestimmten 規定された)次元 Dimension たちをもつ mit)あるアプリオリ a priori な規定の bestimmts 連続体 Kontinuum として.
この連続体は,無限なる連続体として規定される.その相 Phasen のすべてにおいて同じ規定可能なXの諸現出からなる.そして,その任意の線 Linie の各々は連続的経過における調和的な現出連関を生じるよう,連関的に秩序づけられ,本質内実上規定されている.
この経過の完結的な統一( = 有限的かつ可動的作用)は考えられない(連続体は全面的に無限的である).
一方,この連続体のイデー,この連続体を範とする vorgebildeten 完全な所与性のイデーは,眼前に洞観的にある.

312 本質的に動機づけられた無限性というイデーは,それ自身が無限性なのではない.この無限性は原理上,与えられることはできないという洞観は,この無限性のイデーの洞観的所与性を排斥するどころかかえってこれを要求する.

【「自然-世界の果てしなさ」が「ありありとわかる」ということは「果てしない世界」が『見える』ことと表裏一体だ】

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334 【無際限性 Grenzenlosigkeit,無限性 Unendlichkeit にかんして】

私たちは,この無際限性の範例的意識を基礎として,一定の無限方向 Unendlichkeitsrichtungen の"イデー"を把捉する.
「さらにまた我々は物一般という領域的「イデー」を,経過の所属性質の一定的無限のなかにあって自己を保持し,かつノエマの一定性質の無限系列の所属無限性において現れる同一者として把捉する」

【Horizont(地平)――果てしない世界,あるいは世界の果てしなさ.
世界の「果てしなさ」は, 無限の彼方にある「地平-線」として眼前に在り在りと"見えて"いる.
捉え尽くすことのできないこのセカイやアナタ――無限.
しかしセカイやアナタ(貴方・彼方)の「無限」という“一つ”のイデー(“イデア”) は,すでに“在る”(そのような把握がすでに此方(コナタ)の内にある) 】

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参考文献
純粋現象学現象学的哲学考案(下)岩波文庫
フッセル(著),池上鎌三(訳)
岩波書店(1997/03)

Ideen zu einer reinen Phanomenologie und phanomenologischen Philosophie: Allgemeine Einfuhrung in die reine Phanomenologie. 5. Aufl.
Husserl, Edmund.
Max Niemeyer Verlag ; GERMANY (1993)