テイザイン

パノフスキーの『ゴシック建築とスコラ学』は他の方々のブログなどを参考にしたところ,どうやらかなり難解なご本らしい.なのでスコラ学のことをちょっぴりお勉強してのちに読もうとおもう【とりあえず,まずは『哲学原典資料集』『中世哲学への招待』あたりか】【なにか手ごろな文献がありましたら教えていただけると幸いです】

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ここしばらく『イデーン』の岩波文庫版の訳書を読んでいた.たんに旧字体正字?)で書かれているくらいならなんとかなるかとおもい読みはじめたが,冒頭の「フッセル哲学解説」において「成體(成体)」という単語に出くわし(「先ず第一に客觀――此處では論理的成體――の客觀性を一切の誤れる主觀化から防護する必要がある」(p.6)),「論理的成体」とはなんのことだか見当もつかず,辞書にあたって「成体」とは"adult"ないし"imago"にあたる言葉だということ知り,それでは文脈からしておそらく"imago"の意味でこの言葉は使われているだろうと推測する――といった回り道をしたのを機にドイツ語版を購入.訳文の意味がとれない箇所は原文を参考にして"解読"するというやりかたで読みすすめていた.
なお上記の回り道のなかで「(image という英語は)ギリシア語のエイコン eikōn やファンタスマ phantasma に対応するラテン語のイマゴimago に由来し,もともとは視覚的にとらえられたものの〈かたち〉を意味し,転じて諸感覚によってとらえられたものの心的表象を意味するようになった」(「イメージ」『世界大百科事典』)といった知識を得ることができたのはよかった.このたびの読書は総じてそのような回り道とその余禄に充ち充ちていたようにおもう【とはいえ,"Dasein"(現存在)という語の訳が「定在」になっているといったこともたびたびで,ちょっと困りました(笑ったり仰け反ったりプチ切れたりしていました).テイザイ → テイザイン → テーザイン → ダーザイン,というダジャレだったのでしょうか】

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それにしても旧字体のご本というのは確かに外国語の文献のようで(なまじ意味がわかりそうな気がするからなお始末におえない),しかしながらこれでもはや『黒死館殺人事件』も怖くありませんよ,とこれはid:Gen-eさんへの私信.

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ともあれ,なにかの機にピンとくることがあれば関連内容のメモを記そうとおもう.

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