文庫版

私のなかには至高なものの廃虚しかない.

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『ゴシックとは何か』の著者は酒井健とおっしゃる方で,そういえばこの人は『バタイユ入門 (ちくま新書)』の著者でもあった.バタイユとゴシックの組合せ,言われてみればありそうながらもすこし意外に感じてアマゾンなどで検索をかけたところいくつか面白そうな本がみつかったのでそのうち以下の2つを購入:G.バタイユランスの大聖堂 (ちくま学芸文庫)』,E.パノフスキーゴシック建築とスコラ学 (ちくま学芸文庫)
ちょっと値は張るけれども表紙のデザインがステキな「ちくま学芸文庫」.この2つの本の表紙もなかなかにステキです.

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ペラペラめくってみたところ『ゴシック建築とスコラ学』は,本文は注も含めて100ページほど.のこりの100ページほどは図録と訳者解説ということで,これは予想以上に気軽によめそう.なにより図録がたくさんついているのがいい.これが興味ぶかければ(そしてお金に余裕があれば)おなじ作者の『イコノロジー研究』も買おうとおもう(ちくま学芸文庫版を).

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『ランスの大聖堂』は裏表紙によればバタイユの21歳での処女出版「ランスの大聖堂」(1918)と第2次世界大戦前後の重要テクスト選集.標題作には"聖性における究極の脱自"というバタイユの生涯のテーマがすでにうかがえるという.ほかのテクストのなかでは"信仰放棄後の地母神と大地の闇に光を当てる"ディオニュソス的母性論がおもしろそう.

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なお『ランスの大聖堂』の出版は2005年11月であり,なかに「ちくま文庫12月の予告」が挟まっていた.それによれば大澤真幸恋愛の不可能性について (ちくま学芸文庫)』がちくま学芸文庫で文庫化されたらしい.貸したまま行方知れずになってより数年.ことあるごとに買いなおそうかと考えていた.これはよい機会かもしれない.標題作の「恋愛の不可能性について」は,そのころモヤモヤとおもい悩んでいたことを無限論やらカントール対角線論法やらにひきつけて考えるきっかけの1つとなったものでおもい入れがある.またタイトルは失念したが巻末の論文はたしか"webに日記系サイトが数多くみられるのはなぜか"といったテーマにかんするもので【あるいはその論文を参考に,そのようなテーマのレポートを書いたのかもしれない.失念】,これまた興味ぶかい内容だったように記憶している.

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本日はこれまで.

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【追記:『恋愛の不可能性について』の文庫版の表紙が(画像をみるかぎり)ちょっと趣味にはあわないのが残念】