陽性適中率

Xという病気がある.ある時点においてXに罹っている人は1000人に1人の割合でいる(Xの有病率は1/1000).ある人がXという病気に罹っているかどうかを調べるための検査Pがある.その病気に罹った人を検査した場合は98%の確率で陽性の結果が出る(感度 sensitivity 98%).ただし,Xに罹っていない人を陽性と判定する確率が1%ある(1%の確率で偽陽性;特異度 specificity 99%).

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問題:Aさんにたいする検査Pの結果が陽性だった場合,Aさんが実際に病気Xに罹っている確率は何%か.

答え:
1000×100 = 100000(人)の母集団を考える;この集団において,Xにかかっている人は100人.かかっていない人は99900人.
検査Pによって陽性と判定される人数を考える;実際にXにかかっている100人からは98人が陽性と判定される.Xにかかっていない99900人からは1/100の999人が陽性と判定される.したがって10万人の集団を対象に検査Pを行なった場合,98+999=1097(人)が陽性と判定される.

ゆえに,陽性と判定されたAさんが実際にXに罹患している確率(陽性適中率)は98/1097.百分率では約8.9%となる.

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なお同じ感度・特異度をもつ検査において,有病率が1/100であるとき陽性適中率は49.7%,1/10であるときには90.2%となる【ちなみにBさんの検査結果が陰性だった場合,Bさんが本当にその病気に罹っていない確率(陰性適中率)はそれぞれ98.0%,81.8%となる】.

※感度:医学的検査において,その検査が検出すべき疾病をもつ人間に対する陽性検査結果の比.(真の陽性数a)÷(真の陽性数aと偽陰性数cの合計a+c); a/(a+c)
※特異度:医学的検査において,その検査が検出すべき疾病をもたない人間に対する陰性検査結果の比.(真の陰性数d)÷(偽陽性数bと真の陰性数dの合計b+d); d/(b+d)

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