5.連想(キーワード)【走りがき】

分裂病の軽症化.神経症から「人格障害」へ.離人症の消失(ないし「解離」への吸収).時代の変化と精神疾患の変化.「近代の病」としての分裂病(ないしヒステリー,神経症)( → 「現代の病」としての人格障害解離性同一性障害).近代とデカルトデカルトと「心脳問題」(物心二元論,「自我」あるいはコギト).擬似問題としての心.「自我」という解釈モデルと自我障害(あるいは「自我」モデル → モデルに基づく意味づけ → その意味づけを(再)生産する「ネットワーク」の(再)形成――を行うシステムが脳において実現されること.心因もしくは内因の受肉).

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分裂病的事態における「あいだ」の病変は病者の側においてもそれと同様の直接無媒介的なノエシス的体験として感じとられているはず.しかしなかには驚くばかりの内省能力と言語的表現力をもってこの事態(あいだの病変)を描写する分裂病者もいる.こう述べたのち,木村[1980]はカッコ付きで付言する:「このような深い内省能力を示す病者のほとんどが分裂病者であることも、分裂病現象学との親近性を示しているかもしれない」→ 内省と分裂病【あるいは内省と近代】

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躁うつ病神経症も「人間の精神にかかわる病」であり「人と人との「あいだ」と無関係ではないが,ここで問題となる「あいだ」はまだ「対人関係」の域をでない.「自己が自己であり他者が他者でありうるための可能性の条件」としての「あいだ」には問題はおよばない(木村[1980])【 → うつ病.まだ「自分」と「他人」の区別,自他の区別は確固としてある.そのうえでの自他の関わりにおいて,自分が状況に囚われて行く(自縄自縛となる)ことが問題となる.「分裂病」ではこの「自他の区別」があやふやになる】【 ← ということを前提している;自我障害,とりわけシュナイダーの一級症状.あるいは妄想や幻覚のあり方(関係妄想,語りかけてくる幻聴),こうした症状があるからこそ,上記の論が説得力をもつ】【 → 逆に,……当然の帰結かもしれない:結論を先取りしているような印象がある】
分裂病は後者の意味での「あいだ」の病態である.この「あいだ」はいわば「自己自身の内部における内的差異」をなす.その差異はハイデガーの「存在論的差異」とかかわる.それゆえ「あいだ」の病態としての分裂病現象学的な病態である.【 → ハイデガーの「存在論」】