夢こそがすべて?

ニキ・ド・サンファル展にゆく.“ナナ”シリーズよりも初期の作品のほうがより好み.足をはこんでもそのことには変わりは無い.けれども後期の作品のなかでも「髑髏」や“タロット・ガーデン”の「月」などの作品は良いなと感じた.「月」にかんしては作品そのものよりも壁に映る影のことが印象にのこった.おそらくそこまで考慮にいれた照明と配置だったのだろう.またジャン・ティンゲリーに少し興味がわく.
とてつもない欲をいえば巨大ナナ“Hon”【ジャン・ティンゲリーとの合作.なお“Hon”はスウェーデン語で「彼女」の意味らしい.調べてはじめて知った】の胎内に出入りすることが(マネゴトでも)できれば.とはいえそれはどうしようもなく無いものねだりなのでメイキング・ビデオでガマンするほかなかったようです.それにしても子連れのお母さんが“ナナ”をみている光景には,なんとも,お腹いっぱい.

【関連:名古屋市美術館http://www.art-museum.city.nagoya.jp/index.shtml〉,ニキ美術館〈http://www.niki-museum.jp/index.htm〉】

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その後,テツ先輩と合流して古本屋めぐり.すすめられて前田利男(編,訳)『言語の構造と病理』(誠信書房,1971)を購入.購入動機はフォン・ドマルス精神分裂病における特殊な論理法則」という論文が収録されていたことから【いくつかの本で「ドマールスの原理」だの「述語同一視」だのと触れられていたのがかねてから気になっていた】.その他,使うあてもないのに『羅和辞典』(研究社)を購入.安かったものでつい【2000円ナリ】.

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と書き出してみると何だか機嫌がよさそうだけれども昨今は鬱々と日々を過ごしている.お酒の席で吐き散らした言葉で改めてそれと気がついた.恥ずかしい.とはいえ少し気持ちがよかった.
生半可に哲学を噛っていると哲学がバカらしくなる.哲学などなくてよい.こ難しい理屈を考えることなく溌刺と幸せに生きることができればそれでよい.というよりもそのほうが「正しい」(大多数だ).私にはそれができないから哲学(のマネゴト)しかないのだろうけれども.世間さまには哲学など要らない【せいぜい人生哲学があればいい】.すくなくとも哲学の講座や学科,学部に予算を回すだなんて必要はない――哲学が「役に立つ」のでないかぎりは.
このような青年の主張にはじまり,そもそも「役に立つ」とは.「正しい」とは(快楽とは,幸せとは,人間を人間たらしめているものとは)なにか.
【と難しく考えるからなんだか哲学にオーラをみてしまう.人間は動物ですよ――動物としてみることがシンプルだし,ソマミチ自身も含めて大多数の人間はそれで幸せなんですよ】【と主張したわけでございますが,ではなぜこのような役に立たない,一銭の稼ぎにもならないブログを書いているのでしょうかといえば,それはおそらくDNAと条件付けの為せる業にちがいありません】
――というお話で喧々諤々楽しめてしまうあたりがすでに度しがたい.
【それにしても科学はスバラシイとおもうし科学によって生活は「豊かに」なり医学は「進歩」したとソマミチは信じている.たとえばハードディスクの容量やケータイの性能の「進歩」を目の当たりにして】【「古典的」な文献【もとい哲学の文献】を精読し,先人の思考過程を辿りなおすだなんて面倒くさいことは何の役にもたたない;すくなくとも「科学」の発展,ひいては「医学」や「医療」の役にはたたない;「公共」の役にはたたないと信じている】【 ← いや,後者は単に面倒くさがっているだけのような気もする.概念は少ないほうが好きだし理論はシンプルなほうが好きだ】

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ヒトはパンのみにて生くるにあらず?