精神病理学文献

テツ先輩から学校の図書館にあるはずの幾つかの文献の複写を頼まれる.しかしその大半は分館に所蔵されていたもので,キャンパスの移転にともなって借りだすことができない状況になっていた.そこにあるはずの文献を借りだしたい旨を告げると「もうしわけありません.他大学の図書館から取り寄せてください」とのこと.Webcatで検索するかぎり‘ここ’にしか所蔵されていない文献もあるようなのですけれどもどうしましょう,あはは.それにしても○×会館とやらを建てるより先に学部の図書館を建てて下さるものとおもっておりましたがそうですか.それがスポンサー様のご意向ですかと遠吠え.

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頼まれた文献のうち以下の1つだけは友人の協力のもとオールコピーして送ることができた(本のページをめくってくれるコピー機,うらやましい).

ジュリア・クリステヴァ Julia Kristeva,『テクストとしての小説』(国文社, 1985年) Le Texte du Roman(1970).

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それにしてもテツ先輩がさも知っていて当然とばかりに口にする文献のタイトルや著者名にかんして,ほとんどのものはサッパリ見当もつかない.以下,話にでてきた著者名とその代表的著作にかんするメモ.【なお,著者名のメモが残っている一方で,頼まれた文献のタイトル一覧を紛失してしまっていたようだ.が〜ん】
参考:精神医学文献事典〈http://www.koubundou.co.jp/subsite/kbn8190/index.html〉,「著作名一覧」

ヤンツ Dieter Janz 『てんかん―病理と治療―』(1969)
ミュラー‐ズーア Hemmo Müller‐Suur 「出来事としての分裂病的なもの」(1962)
キスカー Karl Peter Kisker 『分裂病者の体験変遷―分裂病の基本状況における精神法則性の精神病理学論考―』(1960)
← この著者の本,OPACによれば以下の2つが所蔵されていたようだ:
Der Erlebniswandel des Schizophrenen / kisker, k. p..Springer
Psychiatrie der Gegenwart / [hrsg. von] kisker, k. p. [et al.].Springer

その他,ヘフナーおよびシュッツ・ヘンケという方の文献を頼まれたように記憶している.ヘフナーにかんしては以下の著作があるらしい.

ベーカー Wolfgang Böker,ヘフナーHeinz Häfner 『精神障害者の暴力犯罪―ドイツ連邦共和国における精神医学疫学的調査―』(1973)

シュッツ・ヘンケ(Schutz Henke(?))は,“Neue Psychoanalyse”という本を頼まれたのだが,いまのところ著者名やタイトルで検索をかけても引っかからない.電話での話でもあり,ききとり間違いがあったのかもしれない.

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期せずして精神病理学関連文献メモになった.ついでにその他のものも.

A.タトシアン『精神病の現象学』みすず,1979(Arthur Tatossian, "Phénoménologie des psychoses"):先日,精神科の教室できいた「精神病理学入門」と題する講義(?)の折りに紹介された本.たしか分裂病精神病理学史にかんする本として紹介されたものであるようにおもう:精神分析をのぞく精神病理学は,ほとんどが分裂病精神病理学である.そのことは精神病理学にとっての分裂病の重要性を示唆する;実際の臨床における重要性のみならず,分裂病を‘人間の本質を侵す病’として重視する考え方を示している.‘人間の本質を侵す病’としての分裂病には魅力と,そして罠があるだろう.それは医療者側のみならず患者側にとってもそのようなところがあるようだ――といった文脈においての紹介.

B.バゴーイン,M.サリヴァン(編)『クライン‐ラカン ダイアローグ』誠信書房,2006(The Klein-Lacan Dialogues):「1994-1995年にかけて,クライン派分析家とラカン派分析家の間で行われた一連の討論を記録した書」らしい.興味ぶかいのでいずれ.

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追記:人名で検索しているうちに引っかかった本,いろいろ読めてお得?

木村敏(編・監訳)『分裂病人間学:ドイツ精神病理学アンソロジー医学書院,1981.
内容:「精神病理学の基本概念としての過程と発展」ハインツ・ヘーフナー著,鈴木茂訳./「分裂病性症状と分裂病性の印象」ヘンモ・ミュラー=ズーア著,長井真理訳./「分裂病性精神病の誘因という問題について」パウル・マトゥセック著,長井真理訳./「分裂病の発病に先立つ青年期の人格発展経過とその類型化」L.ズュルヴォルト=シュトロェッツェル,K.P.キスカー著,長井真理訳./「自我症ー分裂病家族研究の問題児」K.P.キスカー著,小山内実訳./「慢性内因性精神病者における仕事の構造について」W.ブランケンブルク著,岡本進訳.