respect

"すぐに気持ちよくなろうとする"というフレーズをある友人から折りにつけ耳にする.たとえば音楽.気持ちよく奏でることは一朝一夕にゆくものではない.しかしながら(昨今において)おおくの人は"すぐに気持ちよくなる"ことを求める.その表れの1つがモノゴトの"コツ"をつかみたがる風潮だ.友人によれば,そのスタンスの土台にあるのは(そのように気持ちよさそうに振る舞うことのできる境地に至った人にたいしての)"リスペクトのなさ"だという.
"すぐに気持ちよくなろうとする""リスペクトがない"といった言い回し【チョッと気の利いた,それだけに気に食わない】.これを耳にするたびに"すずしい顔をして.それはアナタをリスペクトしろというメッセージですか"と徒な反感をつのらせていた【嫉妬,先んじて自らのあるべき姿を実現している者への攻撃性】.とはいえそれはまた別のお話しで,あらためておもえばこの"リスペクト"という言葉は興味ぶかい.

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手元の英和辞典(ラーナーズプログレッシブ,初版,小学館,1993)によるとリスペクト respect(尊敬,尊重:価値あるものに対する賞賛から出た尊敬 / 点,箇所 / 関係,関連)は《re- 振り返って + -spect 見る》という語根により構成された単語である.この"ふりかえって-みる"ということからは"一者からの流出"による創造とその一者を"ふりかえる"ことがすなわち知性だとする説を連想する【関連:id:somamiti:20051002,id:somamiti:20051008,id:somamiti:20051009】

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先日,ある雑談のなかでゴシック建築が話題にのぼった.ちょうどそのころ『ゴシックとは何か―大聖堂の精神史 (講談社現代新書)』という本を読んでいた.そのなかに以下のような記述がある【[メモ]参照】."見る"ことは"光"によって可能となる【もしかすると異論もあるかもしれませんが】.日々の生活 Leben において体験している erleben コト(夕刻,部屋が薄暗くて物をはっきりと見ることができなくなったので明りをつける,など)がいろんな展開や屈折を介して"抽象的"なコトのなかに入りこんでいることを示しているようで興味ぶかい.

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