モノの魅力

冬期休暇をはさんで,消化器(消化管や肝胆膵)の講義をうけている.腹部超音波エコーはもとより,CTなどの画像の読影がおもった以上に難しい.水平断面像と照らし合わせながら解剖学の知識をブラッシュアップする必要を切に感じる.

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ちかごろ精神医学への興味が薄れている;精神医学にたいする疑念に囚われている.モノをとりあつかう医学のほうが具体的で確かで,たしかな技量が要求される(そしてその技量が反映される)分野であるように感じられ,つよく興味をそそられている【おもえば昨年の春,感染症について勉強しているころもこのようなことを述べていた】.
いまさらながら‘精神医学とは何なのか,何をやっているのか’といった疑問(嫌悪感)を感じている.不安や恐怖のケア,社会への‘不適応’の事例にたいする援助(就学や就職の援助,家族や職場の人間関係の調整など)についてであれば,臨床心理や看護,あるいは教育や福祉の手法や立場のほうがより効果的であろう【あるいはまた,これからの精神医学とは脳を(よい塩梅に)薬漬けにすることか,という考えが,むしろ肯定的に浮んでくる】.

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症状から疾患を疑い,血液生化学検査や各種の画像診断,ひいては内視鏡や組織生検により確定診断をおこない,外科的手術によりモノとしての病巣を切除する.それによる状態の改善の有無(あるいは悪化)により診断の確からしさや治療の有効性が評価される,ということに魅力を感じている.

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ともあれ,実習も卒後研修もまだ先のことで,それだけに迷う余裕があることは辛くもあるがいわれてみれば幸いなことでもある.よくも悪くも迷ってしまったので,いわゆる内科や外科に進むことも視野に入れ,これを機会にきちんと学んでおこうとおもう.と前向きに.