迷路

ツールとしての現象学,手持ちの現象学入門書(文庫・新書)の紹介+α

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チャートというのはたしか海図のことだったとおもう.昨日,テツガクな先輩(通称テツ先輩)と会った.テツ先輩にいわせれば,物事を図式化・図表化することを目指すタブロー的思考,それは19世紀人の思考,近代的思考であるという.

テツ先輩曰く,自らが選びとる思考にたいする態度には自ずからその人の思考があらわれるという.ソマミチが用いる‘ツール’という表現はそのままハイデガーが批判するところの道具的思考があらわれているわけで,それは「現象学」にたいする態度としてはいかがなものか,とのこと.

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ついでにカントについての評価をうかがう.曰く,カントの思考は近代というよりもむしろゴシック的思考であるとのこと.どのあたりがゴシックなのかと問えば,エッセンティア(本質 essentia,本質存在)とエグジスタンティア(実存 existentia,事実存在)という二項対立をもちだす思考がいかにもスコラ哲学の影響が色濃く,ゴシックだという.用語が理解できなかったので質問すると‘ネッシーは4本脚である’というときに‘4本である’というのはエッセンティアであり,‘ネッシーがいる’というのはエグジスタンティアにかかわることだ,と解説された.すこし述語論理のことを連想した【命題∃xAx.‘対象 x がある’という命題と‘x はAである’という命題】【ああ,そうか.「‘ネッシーがいる’というのは……」という答えがわからなかったのは,‘x が存在し(∃x),x はネッシーである(Nx)’といった連想をしていたからか】【そうして,それではこの場合‘ネッシー’という述語は何を指すのかという問題をみたことがある】

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