非対称性

先日のMRIで撮られた脳のイメージをみる.予想よりも左右非対称なことにおどろく.また予想以上に‘丸い’.きけば科学読物に載っているような脳のイメージは数十人ほどの西洋人の脳画像をもとに標準化・平均化したモデルにすぎないとのこと.完全に左右対称の顔のひとがマレであるようにたいていの人の脳は左右非対称であり,また標準化された脳に比べて日本人の脳は‘丸い’(前後の軸が短い)のがあたりまえらしい.
ついで勉強会.膜電位の発生および活動電位の伝導・伝達についての生理学的知識からはじめて形式ニューロン,および神経回路と論理回路の比較について,自分なりに勉強したことを話す.テーマの後半部分は趣味である.
そのなかで日常的な思考と論理(学)的思考の比較対照のために以下のような問題をおこなってもらう.

以下の問1〜4に関して,前提から論理的に導かれる結論をすべて選んでください.
問1 前提:君が脳科学に興味があるならば,君は脳科学クラブに加入する.
1) 君が脳科学クラブに加入しないならば,君は脳科学に興味がない.
2) 君が脳科学に興味がないならば,君は脳科学クラブに加入しない.
3) 君が脳科学クラブに加入するならば,君は脳科学に興味がある.

問2 前提:明日が晴になるならば,ぼくは万博にいく.
1) ぼくが万博にいかないならば,明日は晴にならない.
2) 明日が晴にならないならば,ぼくは万博にいかない.
3) ぼくが万博にいくならば,明日は晴になる.

問3 前提:x が4であるならば,x は偶数である.
1) x が偶数でないならば,x は4ではない.
2) x が4でないならば,x は偶数ではない.
3) x が偶数であるならば,x は4である.

問4 前提:x がカラスであるならば,x は白い.
1) x が白くないならば,x はカラスである.
2) x がカラスでないならば,x は白くない.
3) x が白いならば,x はカラスである.

論理回路の話をするために真理関数の話をしよう.論理回路の演算として表現することのできる‘思考’は,かならずしも日常的な‘思考’とは等しくないのだということをクイズ感覚で体験してもらおう――その程度の意図でおこなったことが,生理学的な話よりもかえって新鮮だったためか予想以上に興味関心をもってもらえたようでよかった。