リアル、暴露趣味

町でいちばんの美女 (新潮文庫)」を読む.アウトローって感じでイカしてる.これこそが本当の「リアル」な生活なのだ。父母の庇護のもとに温々暮らしている、そんな自分の生活は嘘の生活なのだ、などとアホらしいことをおもう.

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‘リアルを求める’という気分。リアル.言葉にするのがこれ以上アホらしいコトもほかにない【では、言葉にされたことはリアルではないとお考えなのでしょうか】.夢のように不安な虚構の楼閣【だと自らの状況を思い描いてしまうこと】こそが逃れがたいワタクシのリアルだというのに、そのさらに彼方の‘リアル’を求めるだなんて.

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船底一枚下は地獄。板一枚を隔ててた地獄をおもい描けばそちらのほうがリアルにおもえてくる.とてもあやふやな人造楽園である舟のなかはリアルではない――として、そこに住まう我が身のうえをしばし忘れる.今いる場所を‘なにか’と比較して人造ないし模造と断じる.
【要するに,人間における一切は悪徳なのだ.悪徳のみが自然の本質であり,自然の組織の本質なのだ】【あなたが美徳の上に設けた神は,あらゆる幻影のうちでもっとも不条理なものです.自然によって創られた人間は,自然から受ける感化にのみ従うべきです】【本当はあたしたちが自然に逆らうことだけが,罪と呼ばれるべきなので,こういう罪は自然がけっして赦してはくれますまい】.

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【こう書いているうちに今度は‘ここ’以外の場所こそが虚構や模造,人造とおもえてくるのですが,それもまた思いちがいで】