被験者

MRIを使った実験の被験者となる.記憶課題を遂行しているときの脳の活動状態を記録する実験である.

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MRIでの撮影をうけるのは初めてのことである.撮影開始後,重たい金属を打ち合わせるような音に驚く.ときどき音が変化してそのたびに故障ではないかと不安になる.ともあれ,音には次第に慣れていった【折々,リズミカルに‘コッコッコッコッ’という音が周囲から聞こえてきたが,これなどは聞いているうちに本当に脳をスライスされているような気分になり面白かった】.

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辛かったのは一時間半におよぶ撮影のあいだ頭を動かしてはならなかったこと.案の定(?)途中で顔が痒くなって困る.終わりのほうでは特注の眼鏡が鼻根に食い込んで痛くなる.なお,強烈な磁力を用いるMRIでは眼鏡の着用はできないものの,コンタクトレンズの着用は可能であるとのこと.そういうことであればコンタクトレンズを着用してくればよかったと後悔する【とはいえこのような後悔が生かせる機会は希だろうけれども】.

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被験者のおかれた状態はかなりストレスのあるものだと感じた.ストレスに弱い方々,たとえば子どもを被験者とするのは困難だろう.また記録された脳の活動状態が想定された機能(記憶課題の遂行)とどれだけ相関しているのかについては疑問がある(1対1対応とは限らないようにおもう).しかし多数の事例が集まれば,それらのなかにある差異や共通の傾向からなにがしかわかることもあるだろう.などと考える.