バランス

先日.前方型痴呆と言語というタイトルの発表を拝聴する.前方型痴呆における言語障害の特徴にかんする発表。

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発表ではMRIによる画像検査の結果が呈示される.言語障害のみが主にあらわれた症例では左半球の側頭葉が顕著に‘やせて’いる一方,他の部位の病変(萎縮)がめだたない.
興味ぶかいが,‘あいまいだ’との印象をもつ.器質病変について得られるデータが‘前頭葉では萎縮はめだたない・左側頭葉の前方においてとくにめだつ’といった細かさにとどまるなら,それと結びつけて論じることのできる概念は「言語」や「人格」といったほどの,おおざっぱなものでしかないようにおもう.

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言語や人格といった概念の精密化,言語という機能や人格とよばれる何かについての詳細な分析――ひいては精神病理についての研究――が診断や病態把握,治療に実際に役だつには,ある精神機能に対応した神経回路の局在を,たとえばニューロンのレベルで同定し,その活動のあり方を検出するための技法が必要であるという感想をもった.

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おおまかな形にはおおまかな色分け.