憑依と隔たり

憑依として精神疾患を捉えること.ある一人のヒトの内部に距離を,隔たりを導きいれること.あるヒトがあるモノに憑依される.ある特定のヒトが憑依によって別のモノとして振舞いはじめる.
そのモノは元来,彼に宿っていたものではない.彼の内に秘められていたものではない.そのような想定が“彼は気が違ってしまった.彼は気が触れてしまった”という表現の背後にはあるのだろう。
(しかしその一方で、彼の「外」からやってきた「別のモノ」は、彼の内に秘められていた真の姿、いわば真の彼自身だ、という想定もそこにはあるように感じる。cf. 抑圧されたものの回帰 / 排除されたものの回帰。あるいは、老いた末に子どもに帰ってゆくという想定)