二十世紀精神病理学史

「二十世紀精神病理学史」は率直にいって期待はずれ。同じ著者による「知覚の呪縛」のほうが、(具体的な症例により基づいていることもあり)興味関心がもてました。

「本書の意図は、二十世紀精神病理学を出来事の連続として、すなわち精神病理学者の知的労働史とその成果の行列としてみることではない。---。本書の意図は、二十世紀的狂気とそれを追尋してきた二十世紀的精神病理学が、ともども、それに依拠せざるをえない〈力としての歴史〉の運命あるいは、その盛衰の様相を問うことにある」とのこと.
精神病理学における‘歴史’観といわゆる歴史、とりわけ歴史における狂的な運動(たとえばナチス・ドイツ)をとりあげて論を展開している。

(なお著者は‘歴史’の語を‘文化’や‘言語(母国語)’をも含む広い意味で(ひいては経験なり認識なりが成立する前提にあるカテゴリの意味に)用いているようだ。)