文系のための数学教室
『文系のための数学教室』では終章でウィトゲンシュタインやハイデガーがとりあげられていたことが興味ぶかかった.
ハイデガーとウィトゲンシュタインの思想の通底性からハイデガーの〈存在論〉を数学の「価値」についての論に結びつけ,そこからさらに,〈存在−神−論〉を「西洋的な数学観」への批判――デカルト,スピノザ,ライプニッツなどの思索にあらわれるような「神の意志に近づくための超越的な思念」という数学観への批判――へつなげるくだりは刺激的だった.
(ちなみに著者はそこから,数学には「便宜性」や「神」などの外部の物差しによる価値づけは必要ない,という見解を展開する)