界面と内面 メビウスの帯

メビウスの帯は,半ひねりを加えたあとで閉じたベルトとして表わすことができる.この奇妙な曲面はたった一つの面とたった一つの縁しかもたないという特性をもつ.表と裏が連続しているこの帯は,無意識と意識的ディスクールとの関係を表す.
帯の中央を縁と平行に切っていくと,メビウスの帯は二つの面と二つの縁をもった別の帯に変形されるが,そのような切断として解釈を考えることが可能である.つまり分析的解釈によって,ディスクールの裏面としての無意識が明るみに出ると同時に無意識は無意識であることをやめる.
トポロジー」『精神分析事典』弘文堂