リウマチ研究

週末は整形外科の試験.これが終わると夏季休暇.

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整形外科の教材用の症例にかんする話し合いにおいて,鑑別疾患にリューマチが挙がったことがある.それにしてもリューマチとは,よく耳にする病気だけれどもはたして何なのだろう.とそうした折りに『膠原病・リウマチは治る』(ISBN:4166604643)という本をみかけたので購入.医学事典や内科学書のリウマチの項を,そのまま一冊の本にしたような本でした【概念,病因・病態,発症のメカニズム,共通する症状,疾患各論,検査,治療,という一連の流れで記されているあたり】.

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並行して『ヒステリー研究』(上(ISBN:4480088326),下(ISBN:4480088334))を読んでいると,たびたびリューマチの語が目についた.たとえば以下のような引用部分

腕と足の痛みに関して言えば,これらは偶然の一致によって規定されたものであると私は考える.…….たぶん,彼女の痛みはもともとはリューマチによるものであったのだろう.リューマチという語は誤用されることが多いので,その意味を限定するために次のことを述べておく.すなわち,その痛みは主に筋肉から発するもので,そして,この痛みが発生するさいには強い圧迫感が生じ,また筋肉の硬さに変化が起きることが指摘されている.またこの痛みがもっとも激しくなるのは,四肢を長時間動かさなかったり,また一定の姿勢に固定したのちの時間,つまり朝方である.さらにこの痛みは,痛みをともなう運動を訓練によって身につけることで緩和できるし,また,マッサージによって消し去ることもできる.
どんな人間でもこの筋肉の痛みを感じることはきわめて頻繁にあるが,とくに神経病患者において,これは重大な意味をもつにいたる.神経病者はこれを神経性の痛みだと判断してしまうのである.そして,筋肉を指圧によって検査する習慣をもたない医師は患者のこうした判断を支持する.このようにして,実際は筋肉の痛みであるのに,それがヒステリー性の神経痛,いわゆる坐骨神経痛等々であると診断されることが非常に頻繁に起きるのである
(「観察2 エミー・フォン・N夫人」(上巻pp.115-116.,注))


フロイトによればヒステリー性の疼痛ではどの症例でも最初は器質的な痛みがあったのであり,ヒステリーにおいて引っぱりだされてくる痛みのひとつにリューマチ性の筋肉痛もあるのだとか(p.289).
ヒステリーといえば「英語 hysteria,ドイツ語 Hysterie,フランス語 hystérie などの語源は古代ギリシア語の hystera すなわち〈子宮〉である.前5〜前4世紀ごろの古代ギリシア人は,子宮が体内を動きまわるためにヒステリーが起こると考えた.ヒッポクラテスプラトンもヒステリーの病因としてこの考えを踏襲している」(世界大百科事典「ヒステリー」)とのこと.一方,リューマチ rheumatism の語は「流れる」を意味するラテン語のリューム(ないしロイマ:rheuma)に由来するとのこと.「流れる」と「子宮が動きまわる」とのイメージの類似がおもしろかったので,下記に試験勉強を兼ねてリウマチについてメモ.

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その他,『恋愛の不可能性について』の文庫版を購入したり(そうしてちょっとした勘違いに気がついたり),三島由紀夫さんの小説を幾冊か読んだりなどしておりますが,それはまた別のお話し.

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