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精神分析的な現代思想に生半可に慣れ親しんでいるためか、1つのパターンの発想しかできなくなっているようにおもう。そのパターンから零れ落ちてしまうものが見えなくなっているのではないか.
たとえば,「帰る」「行く」について考えるときに、それを「失われたほんとうの私」と「あるべき実現される私」(「理想自我」「自我理想」)の概念に結びつけ、それで「分かった」気になっている.安易だ。
そうして、すべてを割り切るのなら、そもそも考える必要などないだろう.

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いままでユングは、どうにも食わず嫌いで、というのも己の無意識にあり、知らずして顕れてくる影(シャドウ)との対話を通じて、より完全な自己を実現しよう、といったスローガンにすべてを収斂してしまう、そうした発想につながる考えの持ち主だと考えていたからであるが、とにかく気持ち悪い気がして嫌いだった。しかしユング変容の象徴―精神分裂病の前駆症状』は意外と面白かった。